マンスリーレター(2026年7月)


ICIマンスリーレター(2026年7月)

2026年7月6日

みなさん、こんにちは

2026年6月の活動を振り返って

2026年6月のICIは、スーパーヴィジョン/メタ・スーパーヴィジョン、キャリア面談支援活動、ICIのメンバー補充のための実践研究員制度の設計、そして公開知としての発信基盤の整備が大きく進んだ一か月となっています。

これまで積み重ねてきた実践を、少しずつ「制度」「言葉」「場」「記録」として形にしていく月だったように思います。

1. MSV――技法指導を超えて、実践者の成長を支える場へ

メタ・スーパーヴィジョン(MSV)の研修第3期が順調に進んでいます。

MSVでは、キャリアコンサルタントや対人支援者の学びを、単なる技法の修正や助言にとどめるのではなく、実践者自身がどのように相談者と出会い、どのように応答し、どのように自分のあり方を問い直していくのかという、より深い学びのプロセスとして捉えます。

特に「相談者をどう理解するか」だけでなく、「支援者自身が、その相談者と向き合う中で何を経験しているのか」「スーパーヴァイザーは、支援者の成長をどのように支えるのか」という二重・三重の視点が求められる中、基本的視座を言語化し、ICIの実践知として共有していく作業で、実践者の成熟がとても楽しみです。

2. 一期一会の出会い

一回限りの面談しかできない場面があるのですが、そこで最も大切なことは何でしょうか。

それは、指導や説教をすることよりも、その一回の中で、本人が安心して話せる空気をつくること、そして本人の中にある小さな希望や関心、まだ言葉になっていない可能性を見つけることだと思います。

一期一会の経験を積み上げることは、単なる個別支援ではなく、「一回限りの出会いの中で、どのように希望を支えるか」という、キャリア支援の原点を問い直す実践でもあります。

一期一会で終わると思っていた人と思いがけず再開するという経験もありました。

10年以上通っている大学での2年生の授業で、毎年数名の院生が補助をしてくれるのですが、ほとんどの学生が学部2年生の時の私の授業を覚えてくれていて、「あの時は、サンドイッチのテーマだったよね」「私の時は、車の安全装置だったよ」など、思い出して後輩の指導にあたってくれました。数年ブランクの間に成長をされたのだなと感慨深かったです。

3. ICI実践研究員制度の設計

ICI実践研究員の募集に向けた制度設計も大きく進みました。

ICIでは、キャリア支援や対人支援を、単なる資格取得後の勉強会や情報交換にとどめず、実践をもとに問いを立て、試し、振り返り、共有していく研究的な営みとして位置づけており、参加されているメンバー(実践研究員)には、受け身で学ぶだけではなく、自分自身の現場や関心をもとに、ICIの活動に主体的に関わっていく姿勢を期待しています。自分のやりたいことや役割に期待される活動内容を明確にし、若干のメンバーを募集します。

単に人数を増やすことを目的としていません。むしろ、少人数でも、問いを持ち、対話し、実践し、共に育っていける人たちと活動を広げていくことを大切にしています。

4. 深読み会・公開文書・著作権ガイドラインの整理

6月は、ICIにおける読書会や深読み会の基本ルールについても整理しました。

英語の原書を読む場合、日本語訳の扱いをどうするか。書籍の一部を引用したり、参加者間で共有したりする場合、どこまでが学習上許容され、どこからが著作権上問題になりうるのか。

こうした問いは、英語書籍や翻訳書だけでなく、日本語の書籍を扱う場合にも共通します。

ICIでは、深読み会を単なる内容理解の場ではなく、参加者それぞれが本文と向き合い、対話を通じて理解を深める場として位置づけています。そのためにも、著作物への敬意を保ちつつ、安心して学べるルールを整えておくことが必要です。

また、ICIのホームページ上に公開している公開文書についても、引用・翻訳・AIによる要約などの扱いを明確にする必要が見えてきました。

6月は、公開文書の末尾に個別の注意書きを加えるのではなく、ホームページ上の公開文書ブロックに、利用指針として表示できる短いガイドライン文を整える方向で検討しました。

これは、ICIの知を開いていくための整備であると同時に、書き手・読み手・学び手の信頼関係を守るための基盤づくりでもあります。

5. ホームページ・メールレター・公開発信の整備

6月は、ホームページやメールレターを中心とした発信基盤の整備も続きました。

ICIでは、SNSだけに依存するのではなく、ホームページを活動の中心に据え、そこにInsights、公開文書、募集案内、コミュニティ案内、ニュースレターなどを集約していく方針を取っています。

マンスリーレターも、その一環です。

毎月の活動を記録し、単なる近況報告ではなく、ICIが何を問い、何を実践し、何を学びとして蓄積しているのかを共有する場として位置づけています。

また、ニュースレター配信の仕組みについても検討が進み、ホームページとメールレターをどのように接続するか、ランディングページからどのように読者へ届けるかといった実務的な整理も行いました。

こうした地味な運用整備は、外からは見えにくいものですが、ICIの活動を継続的に届けるためには欠かせない基盤です。

6. 6月を終えて

2026年6月は、ICIにとって「実践を制度化し、言葉にし、共有可能な知へと整えていく月」でした。

MSVでは、支援者の成長を支える視点が深まりました。
少年鑑別所での面談支援では、一回限りの出会いの中で希望を支える意味が改めて見えてきました。
実践研究員制度では、ICIに主体的に関わる人たちの入口が整い始めました。
深読み会や公開文書では、知を扱ううえでのルールと倫理が整理されました。
動画・AI活用では、新しい学びの可能性が見えてきました。
そして、ホームページ、メールレター、DMARC確認といった運用面では、活動を支える基盤づくりが着実に進みました。

ICIの活動は、目に見えるイベントや成果物だけで成り立っているわけではありません。
むしろ、その背後にある対話、記録、整理、問い直しの積み重ねこそが、ICIらしさを形づくっているのだと思います。

7月以降も、実践と探究を往復しながら、キャリア支援・対人支援・成人発達・AI活用をめぐる学びを、少しずつ開いていきたいと思います。

今月もありがとうございました。
引き続き、ICIの活動をどうぞよろしくお願いいたします。

横山慶一

対人支援の現場と日々の実践の中から生まれる思考を、少しずつ言葉にして、活動の記録とともに、問いや気づきを共有していきます。

Read more from 横山慶一

ICIマンスリーレター(2026年9月) 異常気象、大雨による災害のお見舞いを申し上げます。 オンライン研究所の輪郭が見えてきました! さて、研究所とは、どんな場所なのでしょう。 建物があって、研究室があり、書棚には本が並び、そこで誰かが研究している。そんな風景を思い浮かべるかもしれません。しかしICIには、そのような建物はありません。 以前から、ICIはオンライン上の研究所を実現できないか、と考えてきました。それは単に「研究所のホームページをつくる」ということではなく、人が集まり、問いを持ち寄り、資料を読み、対話し、考えたことを残す。そして、それを誰かが読み、そこからまた新しい問いが生まれる。そんな研究という営みそのものが、オンライン上で起きる場所です。 そこでまず構想できたのが、Interplace Communityでした。どちらかといえば構想の中にあった風景です。 2026年8月、これまで別々につくってきたものを並べて眺めてみると、少しだけ「研究所らしい輪郭」が見えてきました。 今月は、そんな一か月を振り返ってみます。 ホームページを「見る場所」から「探索する場所」へ...

みなさん、暑中お見舞い申し上げます。 ICIマンスリーレター(2026年8月) 2026年7月の活動を振り返って 2026年7月のICIは、これまで積み重ねてきた実践や問いを、公開文書として落とし込んだほか、AI時代における対人支援と内省のあり方を、あらためて考えた一か月でした。 キャリアコンサルタントの質向上をめぐる論点整理、メタ・スーパーヴィジョン(MSV)の理論と方法の公開、面談支援関連手引きの更新、そして「書くこと」「振り返ること」「思考の余白」をめぐる発信… それぞれは異なる活動に見えますが、その根底には、実践を経験のまま終わらせず、立ち止まり、言葉にし、次の実践へとつなげていくという共通した姿勢で取り組みました。 1.ICI実践研究員の募集 7月初旬、これまで準備を進めてきた「ICI実践研究員」の募集要項を公開しました。 ICIが求めているのは、完成された理論を一方的に学ぶ人ではなく、自分自身の現場や問題意識を持ち寄り、問いを立て、対話し、試し、振り返りながら、実践知をともにつくっていく人です。...

AI時代の「丁寧な接触」と、場を守るための境界線 みなさま、こんにちは。 今日は少しだけ、オンライン上でのコミュニケーションについて考えたことを共有したいと思います。 丁寧なメッセージが届く時代に 最近、SNSやビジネス系のプラットフォームを通じて、初対面の方からとても丁寧なメッセージをいただく機会があります。こちらの活動やプロフィールに触れ、「対話」「学び」「問いかけ」「AI」などの言葉に共感した、と書いてくださることもあります。 そのような言葉をいただくこと自体は、とてもありがたいことです。ICIは、対話や学びを大切にしている場ですので、関心を寄せてくださる方がいることは励みになります。 文章の丁寧さと、信頼できる関係は別のもの 一方で、AIや翻訳ツールが発達した今、私たちは「文章が丁寧であること」と「信頼できる関係であること」を、少し慎重に分けて考える必要があるとも感じています。...